ドラレコやカメラの映像保存に使われているメディアが、SDカード(microSDカード含む)です。
でも、実際に映像がどのようにカードに記録され、それを再生するのか、多くの人がその仕組みを知らないのではないでしょうか?
映像は動画なのでビデオテープやディスクのように、メディアが動くものは何となくイメージできるでしょうが、SDカードは機器の中で全く動かないのに録画/再生が可能です。
そこで今回は、SDカードが映像を録画/再生するメカニズムについて、解説してみようと思います。
▼ もくじ
テープは電気信号を磁性体に変化させ記録する

例えば、私たちが以前利用したビデオテープでは、レンズが受けた光をカメラ内部で電気信号に変換させ、それをテープに記録させていました。
テープには磁性体が塗布されており、録画ヘッドを使い、磁石のS極とN極の関係で電気信号を記録します。
ただ、テープは止まっている状態では記録できないので、走行させることでそれを可能にしているんですね。
映像を再生するには、録画したものを読み取る再生ヘッドを使い、やはりテープを走行させて行える仕組みになっています。
あくまでメディアたるテープが動かないと、録再できないことは、既に私たちは脳にイメージしていることでしょう。
そんな背景もあり、SDカードは全く動かないのに動画を録再できるのは、腑(ふ)に落ちないのではないでしょうか?
SDカードは実はデータをしまう超小型の倉庫に過ぎない

まず大前提として、SDカードは “動画専用の装置” と言う訳ではありません。
正体は「データを記録できる記憶装置=ストレージ」なんです。
中身はフラッシュメモリとなっている
SDカードの中には、フラッシュメモリと呼ぶ半導体が入っています。
これは、電源を切ってもデータが消えない記憶装置で、USBメモリやパソコンに使われているSSDと同じ仲間。
イメージとしては、フラッシュメモリは無数の小さな引き出しであり、動画(映像)データは引き出しに詰め込まれた情報のかたまり、と言う関係になっているのです。
SDカード自体は “動画の意味” を理解していない
今回の重要なポイントは次の通り。
SDカードは「これは動画だ」「これは写真だ」と言うのを理解していません。
実は、デジタル信号の “0” “1” のデータを言われた場所に書き込んで、必要な時に言われた場所から読み出す、ただそれだけを行っているんです。
だからカードそのものが動かなくても、動画が再生できることが可能になる訳。
では、動画の意味を持たせているのは何なのか?
それが次の頁で登場する “ドラレコ本体” や “カメラ本体” なんですね。
動画を録画する時 ドラレコ内部で起きていることとは?

SDカードに動画が保存されるまでには、実は、ドラレコやカメラの内部で多くのデータ処理が行われています。
それ以前にはカード自体は何もしません。
映像と音を電気信号に変換する
まずレンズが光を取り込み、CMOSなど映像センサーが光を電気信号に変換します。
同時に、マイクが音を電気信号に変換。
この時点では、まだ大きな生(RAW)データです。
動画データを圧縮する
この生データをそのままカードに保存すると、容量が大きくて入り切れないため、機器が映像と音声を動画ファイル(MP4やMOVなど)に圧縮します。
そして、さらに “H.264/H.265” などの動画圧縮方法を用いて、さらに不要な情報を間引いた上でサイズを小さくします。
ここで初めて “動画ファイル” としての形が整うのです。
SDカードへ連続的に書き込む
圧縮された動画データは、1秒間に何十枚もの映像と同期した音声として、高速かつ連続的にSDカードに書き込まれます。
このため動画撮影では、書き込み速度が重要と言う話につながる訳なんですね。
動画の格納場所はファイルシステムが管理する
SDカードにはどれも、必ず “FAT32” や “eFAT” と言ったファイルシステムが使われています。
これは「この動画ファイルはSDカードのどこからどこまで使っているか」を管理する、地図のようなもの。
このような動作を経て、正しく1つ1つのデータが順序良く、最終的に動画として録画できるようになるのです。
データの再生は “再生” と表現するよりデータの “読み解き” が正しい
参照:みはの徒然ブログ
では保存された動画は、どうやって再現するのでしょうか?
実はデータを動かしているのではなく、読み解きしているんです。
再生機器がファイルを読み込む
ドラレコやカメラの機器は、ファイルシステムを確認したら、動画ファイルの場所を特定します。
特定が完了したら、SDカードからデータを読み出す手順を踏みます。
圧縮された動画を展開(デコード)する
今度は保存時とは逆に、圧縮された動画を展開します。
そして、映像フレームと音声の分解作業をリアルタイムで行い、画面に映像を再現し、音声をスピーカーから出す。
これらを繰り返すことで “動画再生が成立” するのです。
まとめ

結論として、SDカードは動画を理解している訳でも、再生している訳でもありません。
簡単に言えは「動画データを読み込んだり読み解いたりしているだけ」なんですね。
高速で安定した読み込みをして、正確なデータ保持をする。
それを繰り返して行う。
このような役割を黙々とこなすことで、私たちの “動画を撮って見る体験” を支えているのです。
一連の作業は目では見えないので、私たちには単純な作業をしているように思えるのですが、実際にはとても複雑な作業を瞬時に行っていたのですね。
動画ファイルの録画/再生はSDカードが行っているのではなく、機器がそれを認識して行っていること、あなたは理解できたでしょうか?
なおこちら▼の動画でも、SDカードの仕組みを解説しているので合わせてご覧下さい。
協力 ぽとぽとさん
記事参照:データスマート キッズネット みはの徒然ブログ など

コメント