ここ数年、地球温暖化が原因とみられる天候の急激な変化で、風水害が頻繁に起こっています。
車の運転中に濁流にはまって、車内に閉じ込められるなどの痛ましい事故のニュースを、あなたも良く耳にすることでしょう。
そんなもしもの時にあると便利なのが、「緊急脱出用ハンマー」です。
これはカーショップやホームセンター、またAmazonなどの通販でも手に入りますが、100円均一ショップでも購入できる(正確にはできた)ようですね。
ですがどれを使っても、車のドアガラスはちゃんと割れるのでしょうか?
答えはノーです。
特に100均のハンマーはダメと言われており、その他の製品でも、安心して使えるのか保証ができないものがあるとのこと。
万が一の時に、確実に使える緊急脱出用ハンマーはどう選ぶべきなのか、今回検証してみたいと思います。
100均の緊急脱出用ハンマーがダメな理由
車のガラスの緊急脱出用ハンマーは、先端が鋭くとがった特殊な形になっています。
なぜこのようになっているのかと言うと、ガラスの構造そのものが家屋用のものとは違っているからですね。
参照:積水ケミカル
特にフロントガラスは、事故の衝撃で乗員が飛び出さないように、ガラスと特殊なフィルムを使った合わせガラスになっています。
強い衝撃を受けると、膨らむだけで割れることはなく、最悪、全体が車体枠から外れてしまいます。
ですから、ここはどんなハンマーで叩いても、割れることはないと思って下さい。
また、サイドのガラスも強化ガラスとなっていて、石のような重いもので叩いても簡単に割ることは不可能で、人間の足のかかとで蹴っても、ぶち破ることはできませんよ。
なのにこのサイドガラスは、思わぬ弱点があるんです。
ほんの1点に集中して力を加えれば、簡単にもろく割れてしまうんですね。
この1点に力が加わるように開発されたのが、緊急脱出用ハンマーと言う訳で、これで運転席や助手席など、サイドガラスを割って車外へ脱出するのです。
ところが前述のように、主として100均の製品はガラスに衝撃を与えても、先端が丸く潰れてしまい、力を集中しても簡単に割れない事実が判明したのです。
これは10年ほど前に、国民生活センターが多数の製品をテストした結果だそうで、3回叩いても割れなかったのが、100均を中心に安価なものに目立ったそう。
原因は恐らく製造コストの関係で、重量がありながらも硬度の低い素材を使ったからなんでしょうね。
100均の製品は実は現在販売されていない
実は100均ショップの大手ダイソーやセリアなどは、国民生活センターの指導を受け、すぐにこの商品の自主回収を実施し、現在はお店で買うことができません。
ちなみに、私もハンマーは数年前にすでに手に入れて、自分の車に搭載していました。
どこでどんな製品を買ったのか記憶になかったので、念のため先日確認したところ、車には上の写真のものが入っていました。
「ゲッ、ダイソーが販売していたのとソックリじゃん!」でした。
まさか100均で買った覚えはないので、もしかしたら、同じ製造元の製品を違う店で購入したのかも知れませんね。
せっかくコンソールボックスに入れておいたのに、今は買い直す必要性を感じています。
あなたもすでにハンマーを購入していたら、私と同様、どんなものを買ったのか1度確認した方が良いでしょう。
緊急脱出用ハンマーはどんな製品を買えば良い?
ではこのハンマーは、どんな製品を購入すれば良いのでしょうか?
色々調べると、まずは販売価格が千円以上のものから選ぶと良いようです。
製造メーカーが多数あるので、どこの製品が良いのかは一概には言えませんが、パッケージにJISマーク(日本工業規格)や、GSマーク(ドイツ安全規格)の付いたものを選ぶのが無難のようです。
ちなみに例えば、次のような製品なら安心して車載できそうです。
または
それからハンマーの使い方ですが、ガラスを叩く位置は真ん中ではなく、なるべく端っこの方がたやすく粉々に割れます。
ガラスの真ん中は、衝撃に強いので避けた方が良いようですよ。
また良い製品なら力を入れなくても、女性や子供で割れるとのこと。
思い切り力を入れてしまうと、割った時の勢いで手や顔にケガをする可能性があるので、落ち着いてポンと一撃で割るのがコツのようです。
もしハンマーのない車で水害に遭ってしまったら?
あなたの車が万が一の水難に遭遇しても、ちゃんと緊急脱出用ハンマーを装備しておけば、危険から命を守れる確率は高くなります。
しかし、あなたが乗った車が知人か友人の車で、水に浸かる状況になったらどうしたら良いでしょう?
ハンマーはないか、あってもどこにあるのが不明な状況ですよ。
1つの方法としては、車が天井まで水に浸かるまで我慢して、ゆっくりドアを押せば、水圧が低くなって少しずつ開けることが可能です。
ですが、頭がパニックになっている状態でこれを行うには、無理がありますよね?
そんな時は、もし車のシートのヘッドレストが分離する構造になっていれば、引き抜いてこれを使いましょう。
引き抜いたら、ヘッドレストのマスト(棒)の1本を、ドアの内張りとガラスとの隙間にできるだけ深く奥へ差し込み、テコの要領でヘッドレストを手前に引けば、ガラスを割ることができます。
結構力がいるので子供には難しいかも知れませんが、頑張ってやってみる価値はあると思います。
実際に、実験で可能なことを証明した動画を見つけましたので、ぜひご覧下さい。
協力 【消防防災】RESCUE HOUSE レスキューハウスさん
いかがでしたか。
とても参考になったでしょ?
まとめ
今回は、万が一の車の水難事故に活躍する緊急脱出用ハンマーに付いて、100均製品など、安価なものは避けた方が良いことを述べました。
購入するなら千円以上の、できれば、JISまたはGSマーク付きのものが無難です。
このハンマーが活躍するのは一生に1度あるかないかですが、多少高価でも、これで大切な命が救われるなら安いものでしょう。
しかしこのハンマーが日本で登場したのは、今から30年ほど前からではないかと思いますが、それ以前はこうした事態に遭遇した場合、ドライバーはどうしていたかあなたは分かりますか?
その頃はまだ、車にはパワーウインドーと言う便利なものが、わずかな高級車にしかありませんでした。
多くの車は電気を使わず、手でレギュレーターハンドルをクルクル回して、窓を開閉するタイプだったのです。
だからもし車が水に浸かっても、手でガラスを開けることができました。
あえてガラスを割らなくても、乗員は外へ脱出できたんですね。
今の車は電装品だらけですから、車体が水没すると、ショートして何も作動しなくなってしまいます。
そう言う意味では、昔の車の方が万が一の時に、命を失う危険性が低くて良かったかも知れません。
まあそれでも、現代の車の方が総合的に安全機能では上回っているので、電気が使えないと何もできない部分があっても致し方ないでしょう。
この先ハンマーの出番がないことを願いたいものですが、備えあれば憂いなしで、あるに越したことはありません。
安全基準にパスしたハンマーで少しでも安心できるのなら、まだ装備していないあなたは、直ちに購入をおすすめしましょう。
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