アイドリングストップを廃止する車が増えているのに、なぜハイブリッド車はそれを廃止しない?

 

2012年頃から徐々に、アイドリングストップを搭載した車が登場しました。

それが2020年を過ぎたあたりから、モデルチェンジを機会に減りつつあります。

あれほどエコドライブが叫ばれ、大型から軽四輪まで、ガソリン車を中心に搭載された高度な機能がなくなりつつあるのは、それなりの理由があるからでした。

 

ですが一方、ハイブリッド車は相変わらず信号で停車するとエンジンがストップして、車内が静かになりますよね。

アイドリングストップは効果がないと周知されたはずのに、なぜハイブリッド車にはなくなったりしないのでしょうか?

 

実は多くの人が誤解しているのですが、ハイブリッド車にはアイドリングストップなんてものは搭載されていないのです。

それって一体どう言うことなのか、今回述べてみようと思います。




 

そもそも何でアイドリングストップは生まれたのか?

 

アイドリングストップ装置そのものは、1980年頃にトヨタ自動車によって開発されたもので、クラウンやスターレット(現在のヤリスの先祖)の一部グレードに採用されました。

ところがどちらもユーザーの反応が悪く、1年ほどでラインナップから消えてしまったんですね。

その頃はまだ景気も良く、高いオプション代を払ってまでして燃費を稼ごうなんて、多くの人が思わなかったのでしょう。

それが、2008年のリーマンショックが引き金になって、世界中が不景気になり物価も上昇したものですから、ガソリン価格も徐々に上がって来たのです。

と言う訳で再登場したのが、アイドリングストップだったのでした。

 

 

当時はすでにハイブリッド車が登場していたのですが、高価であるため、より安く搭載できるこれに白羽の矢が立った訳ですね。

あの頃は先進メカニズムともてはやされ、私も安価に装着できるものなら、次の愛車には搭載車を選びたいと思いましたよ。

 

アイドリングストップが現在廃止されつつある背景とは?

 

 

高度なメカを持ったアイドリングストップは、どのメーカーのものでも、それなりに燃費を稼ぐ効果を発揮します。

それは以前、燃費性能を示す日本独自の測定方法である、JC08モードで明らかになっていました。

 

その後、測定方式が世界共通であるWLTモードに変更されたのですが、この規格で測定するとアイドリングストップ非搭載車に比べ、あまり差がみられないようになったのです。

つまりユーザーに取って、メリットが減ってしまった訳なんですね。

 

加えて、車が停止したのち再びエンジンが始動する際の不快感と、発進時のタイムラグが不評で、これがドライバー取ってデメリットとなっていました。

さらにエンジンの停止と始動が繰り返されることで、バッテリーとスターターに大きな負担を与えます。

 

少しでも負担を減らすため、信号での停車中、エアコンをストップさせ送風に切り替えますが、しかし、カーナビ・ドラレコ・ライト類は作動し続けます。

そのためにバッテリーは、専用の強力なものが使われているのですが、標準品より価格が1.5倍~2倍くらい高いのに、寿命は短くて良く持って1年半。

これではせっかく燃費を稼げても、トータルではユーザーにはあまり得になりません。

 

 

ダッシュボードには、手動でアイドリングストップをキャンセルするスイッチがあり、これを毎回使えば少しはバッテリーの寿命が伸びます。

でも車に乗るたび、いちいちスイッチを操作するのはとても煩わしい。

あれやこれやで、あってもあまり意味がない代物とみなされるようになり、メーカーも段々と廃止の方向へ目を向けるようになったのです。

 

ハイブリッド車はなぜアイドリングストップを廃止しない?

 

 

以上のような理由で、一般のエンジン車には、少しづつアイドリングストップの搭載が見送られるようになりました。

また技術の発達で、非装着でも低燃費な車が現れたことも理由になるでしょう。

 

ところでハイブリッドはどうでしょうか?

実際にハイブリッド車に乗れば分かりますが、停車中はこちらもエンジンをストップさせています。

ですが次に発進しようとしても、すぐにはエンジンは掛かりません。

 

モーターアシストの少ないマイルドハイブリッド車は割とすぐに掛かるのですが、フルハイブリッド車はエンジンが停止したまま、しばらくはモーターだけで進みます。

スピードがある程度出たところで、モーターだけではパワーが足りないとなった時点で、やっとエンジンが目覚めて始動するようになっているんですね。

 

 

つまり車の発進と停止にかかわらず、走行状況の変化によって、エンジンが掛かったり停止を繰り返しながら、ハイブリットは機能すると言うこと。

要するにハイブリッド車には、そもそもアイドリングストップと言う機能は搭載されていないのです。

 

アイドリングストップとハイブリッドは全く別物のエコシステムだ

 

 

多くの皆さんは、アイドリングストップとハイブリッドとの認識を、少し間違えているのではないかと思います。

停車中でもハイブリッド車は、、モーターアシスト用バッテリーの容量が不足していたり、大きな電力を必要とするエアコン使用中はエンジンが掛かります。

ちなみにアイドリングストップ搭載車でも、エンジン始動直後で十分に暖機していない場合は、メカに負担を掛けないためエンジンはストップしないことがあります。

 

またマイルドハイブリッドでは、エアコン使用中でもエンジンがストップする車種がありますが、これはフルハイブリッドに比べ省燃費の効果が低いことで、あえてこのような仕様にしているのでしょう。

停車時にエンジンがストップするのは、アイドリングストップとハイブリッドでは、意味が違うのを知っておいても良いかも知れませんね。

 

いずれにしろ、数年のうちにアイドリングストップと言うメカニズムは、完全に廃止され消滅するでしょう。

その時になったら、停車時にエンジンが止まらない車は普通のエンジン車で、止まる車はハイブリッド車と、キッチリ認識できるようになるのではと思います。

 

今後自動車は、EV(電気自動車)化が進むと言われている一方、EV化が必ずしも環境を守る一番の手段ではないとの専門家の意見もあります。

まだ当分の間は、エンジン車・ハイブリッド車・EVの住み分けが続くことでしょうね。

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