車のメンテナンスは、費用がかさむことが多く、タイヤの交換や点検も大きな出費になることがあります。
しかし、ちょっとした工夫や手間をかけることで、コストを大幅に削減することができるんです。
その1つの例がタイヤローテーション。
タイヤローテーションは、タイヤの寿命を延ばすとても効果的な作業です。
今回は、そのタイヤローテーションを自分で行うメリット、必要な準備道具、具体的な作業手順、安全対策などを紹介し、あなたも安心して作業できるよう解説しましょう。
どうして必要?タイヤローテーションの目的と自分で行うメリット
タイヤローテーションは、車のタイヤを一定の順番で位置を交換する作業です。
これを定期的に行うことで、タイヤの摩耗が均等になり、タイヤの寿命を延ばすことができます。
では、なぜタイヤは均等に減らないのかあなたは分かりますか?
それは車のタイヤは、走行時の荷重や走行条件によって摩耗の仕方が異なるから。
また前輪駆動車(FF)と後輪駆動車(FR)とでは、前輪や後輪にかかる負荷が異なり、そのためどちらかのタイヤが早く摩耗する傾向があります。
たとえば、前輪駆動車では前輪が駆動力を受け持つため、前輪のタイヤがどうしても早く減ってしまいます。
通常、タイヤの寿命はだいたい3万から4万キロ程度ですが、ローテーションをきちんと行えば、寿命をさらに数千キロ延ばすことができるんですね。
ディーラーや整備工場でタイヤローテーションを依頼すると、一般的に1回の作業で4千円くらいの費用がかかります。
ですが、自分でタイヤローテーションを行えば、工賃を節約できて、その分、別のメンテナンスに回すことができるんです。
自らの作業による節約効果は大きいと言えるでしょう。
これだけあればOK!必要な道具のリスト
タイヤローテーションを自分で行うには、当たり前ですが、いくつかの工具・道具を用意しないといけません。
基本的にシンプルな道具で十分ですが、作業をスムーズに進めるためにはそれなりの準備がいります。
最低限揃えておきたいツールとして、まず車を持ち上げるためのジャッキが必要です。
車の重さに耐えられるもの(だいたい1tから2t)を選びたいですが、車に付属しているものがあればそれで大丈夫です。
私は若いころは車いじりが好きだったので、カーショップで買った油圧式のフロアジャッキがあり、作業が楽なのでこれを今でも使っています。
車に付属するパンタグラフジャッキはコンパクトで収納性に優れていますが、車体を持ち上げるのに腕力が必要で、女性だとちょっと難儀するかも知れませんね。
それからスペアタイヤが車に付属しているなら、外したタイヤの代わりに一旦取り付けるためにそれを使います。
スペアタイヤのない車なら、冬に使うスタッドレスタイヤで代用しましょう。
もしスペアタイヤがないのであれば、フロアジャッキとジャッキスタンドを用意しないといけないので、出費がかさむし、やや高度な作業となってしまいます。
なので今回は、スペアタイヤを使用することを前提にお話を続けたいと思います。
さて次は車体を持ち上げた時、車体全体が滑って動いてしまわないように、タイヤ止めも必要です。
これは1器あれば大丈夫ですが、2器あればタイヤを前後から固定できるのでさらに安心。
次にタイヤを取り外すための工具としているものは、タイヤレンチですね。
タイヤのナットを緩めたり取り付けたりする際に必要なものですが、車に付いているものでも十分。
それと、あれば便利なのがトルクレンチ。
タイヤを取り付ける際に、ナットを適切なトルクで締めるために使いますが、締めるコツを覚えればタイヤレンチでも取り付けられます。
コツを覚えるのに自信がないなら、このトルクレンチを用意すると良いでしょう。
またゴム軍手があれば、手を汚さず作業しやすくなります。
車体の下を覗く際にほこりが舞うことがあるため、マスクもあった方が快適ですね。
道具はどこで手に入る?価格の目安は?
タイヤローテーションに必要な道具は、ホームセンターやカー用品店、インターネット通販等で購入できます。
価格はジャッキが5千円から1万円程度、ジャッキスタンドやトルクレンチは3千円から5千円、タイヤレンチは2千円程度で、タイヤ止めは1器当たり千円くらいが目安です。
工具・道具が車に付属しているなら改めて買う必要はないですが、何度も使える道具なので、使いやすいものなら購入しても負担にならないかも知れませんね。
初めてでもできる!タイヤローテーションのやり方を段階的に解説
では、実際にタイヤローテーションを行う手順を解説します。
これから紹介する手順を守れば、初心者でも安全に作業を行えますよ。
車種によってタイヤローテーションの方法が異なるため、まずは自分の車の駆動方式を確認しましょう。
前輪駆動車・後輪駆動車・四輪駆動車とではローテーションの順番が異なります。
スペアを使ってタイヤを外す
ジャッキアップの手順と安全な位置の確認として、車を平坦な場所に停めます。
また作業する場所は、コンクリートや舗装路面など、必ず地面が硬いところ選ぶように。
土の上ではジャッキアップした時にジャッキが沈み、車体が不安定になって危険です。
当たり前ですが、ギヤはパーキングに入れサイドブレーキをかけて下さい。
タイヤ止めは、外すタイヤの対角線にあるタイヤにセットします。
例えば、外すタイヤが左後輪なら右前輪の前側にセット(2器あるなら前後両側に)。
ジャッキを置く位置(ジャッキポイント)は車両の取扱説明書で確認し、正しくジャッキをセットします。
多くの車は、前輪と後輪の間のドア下にある、車体の切り込みまたは膨らみの位置がそれに当たると思います。
ジャッキを動かし、車がちょっと浮く程度に持ち上がったら、ナットをタイヤレンチで少しだけ緩めます。
緩め方は図のように、対角線を描く順番で行いましょう。
参照:カーライフ
緩んだら更に、タイヤが少し浮くまで車体を持ち上げます。
あまり持ち上げすぎると、車体が不安定になるのでほどほどに。
最後にナットを全部外し終えたら、タイヤを外して下さい。
タイヤを外して入れ替える順番
参照:グッドイヤー
車両の取扱説明書や上の図に従い、タイヤの取り換え位置を確認、適切な順番でタイヤを交換します。
私の車は前輪駆動なのですが、前輪をそのまま後輪に持っていくことは行わず、いつもXを描くように前後・左右を入れ替えることが多いです。
また、タイヤの銘柄によっては回る方向性が一定のものがあり、その場合はXではなく、Iの字に前後のみのローテーションとなります。
回転方向が決まっているタイヤは、矢印がトレッド(側面)に記してあるので、確認しましょう。
取り付け後の確認と増し締めのタイミング
タイヤを取り付けた後、ナットを手でギュッと締めたらジャッキをゆっくり下ろし、車が地面に接触したタイミングで止め、再度ナットをタイヤレンチで増し締めます。
その時、決して足を使って締めてはいけませんよ。
足を使うとトルクオーバーとなり、最悪ボルトをねじ切ってしまうんです。
ナット締めが不安ならトルクレンチを使用して、メーカー推奨のトルクでボルトを締めましょう。
推奨トルクは、トルクレンチにも記載されています。
これが終了したら最後に完全にタイヤを下ろしジャッキを外します。
タイヤ止めを外すことも忘れないで下さいね。
作業前に確認すべき気をつけたい安全・安心対策
作業は何はともあれ、安全第一で行いましょう。
以下のポイントをしっかり確認して下さい。
地面の状態と作業環境の選び方
前述のように、平坦で硬い地面で作業することが重要です。
柔らかい土や不安定な場所では危険が伴います。
タイヤやホイールの傷みを見逃さないこと
タイヤに異常がないか確認し、必要に応じて新品と交換しましょう。
また、ホイールに傷やひび割れがないかも確認することが大切です。
作業中によくある失敗とその対策
よくある失敗として、ナットを締めすぎてタイヤが外れにくくなることがあります。
極端な例として、足を使って締めるとボルトをねじ切ってしまうこともあるので、適切なトルクで締めるように!
以上の要領で、セルフタイヤローテーションを実践した方の動画もありますので、ぜひこちらも参考にして下さい。
実際の作業を映像で確認することにより、手順が “良く” 理解できますよ。▼
協力 おにまるちゃんねるさん
ローテーションを行う目安と管理
タイヤローテーションの頻度は、車の走行距離やタイヤの減り具合に左右されます。
一般的には、5千キロごとにローテーションを行うことが推奨されていますが、車の取説に記載された目安も参考にしたいものです。
ローテーションのおすすめ時期は、タイヤの摩耗状況を確認しながら、定期的にローテーションを行うことが大切です。
特に季節の変わり目や、タイヤが偏摩耗してきたと感じたら、早めに行いましょう。
ローテーションの日付や新たなタイヤ取り付け位置を記録しておくと、次回のローテーション情報を簡単に管理できます。
手帳やスマホのメモ帳を使って管理する方法も、便利で推奨できますよ。
あと、ローテーションが終了したら、必ずエアチェックも行って下さい。
空気圧調整ができていないと、その後の安全運転を維持できませんからね。
あとがき
私はドライブレコーダーの取り付けをいつも自分で施工しますが、タイヤのローテーションも自ら、毎年3月末から4月上旬あたりに行っています。
なぜこの時期かと言えば、ちょうどこの頃に、スタッドレスタイヤからサマータイヤへの交換を行うからです。
タイヤ交換ついでにローテーションもするわけですね。
最初に述べましたが、ローテーションはいつもXのクロス方向で行っています。
本当は8の字で行うのが理想的なのですが、ローテーションがややこしくなり、過去に順番を間違えてしまったことがあったんですね。(^’^)
過去にそんな失敗があったものの、タイヤの位置を定期的に替えること自体とても重要で、簡略化したX方式でも十分だと思っています。
これであっても、タイヤを平均的に摩耗させることは可能なはずですから。
タイヤローテーションは、自分でできるメンテナンスの中では比較的簡単で、とても効果のある作業です。
適切な道具と手順を守れば、初心者でも安全に作業を進めることができます。
しかし無理は禁物。
タイヤをいじることに自信のないあなたなら、費用が掛かっても専門業者に依頼するのが間違いありません。
リスクを多少背負っても、お金を掛けたくない方にセルフタイヤローテーションをおすすめしたいと思います。
タイヤの寿命を延ばすためにきちんと行いたいが、でも交換費用は抑えたいのなら、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
コメントを残す