現在、日本で最も普及しているドライブレコーダーは、カメラとモニターが一体となったスタンドアローン型です。
その中で人気となっているのは、前面のみの1カメラ式または前後2カメラ式。
特に2カメラ式であれば視野が広く、死角が少ないように思われがちですが、それでも左右の様子までを記録することはできませんよね?
そこで登場したのが、死角のない360度タイプのドライブレコーダーです。
これなら前後左右どこから車が迫って来ても、状況映像を残すことができます。
とは言え、360度の全天球レンズでレンズで録れば、独特な歪んだ映像となってしまい、細部が不鮮明な動画となるデメリットが生じるのも確か。
「だったらそんなドラレコの360度タイプって必要ないじゃん?」
あなたはそう思うかも知れませんよね。
ではそれならばと言う訳で、私が360度タイプのドラレコを2機種使って必要性を検証、その上でおすすめできるモデルを紹介してみたいと思います。
360度タイプのドラレコのメリットと “大きな” デメリット
360度タイプのドラレコは、全天球レンズ1つで、前方・後方・左右の様子全てを録画できます。
そのため本体にGPSが内蔵されていれば、ケーブルは電源ケーブル1本で済むので、見た目がスマート。
これで死角のない映像が録れるのは、非常に便利です。
もしこれが普通のスタンドアローン型だと、後方を録画しようとすればリアカメラも必要で、このケーブルがもう1本車内を這うことになります。
さらに左右の様子も記録しようとすれば、さらにカメラが2台必要で、ケーブルもそれぞれ必要に・・・。
そう思えば360度タイプのドラレコは、何と車内がシンプルでスッキリさせられることでしょう。
また録画された映像をPCで再生する時は、マウスで画面を引っ張ることにより、ぐるっと周囲を見渡すことができて面白いです。
左右にも上下にもシームレスに見えるのは、同じ全天球レンズを使ったアクションカメラと同じで、迫力すら感じることでしょう。
すなわちこれらが、メリットになる訳ですね。
これに対してデメリット挙げると、まず気付くのが画質の悪さ。
360度カメラは、記録された映像をそのまま見ると円周になっているので、ドラレコとしては実用的ではありません。
一般のドラレコのように、人の目線で見えるようにするなら、映像の一部を切り取って伸ばさないといけません。
これがいわゆる伸ばしボケ、つまりデジカメに例えると、デジタルズームした画像のようになってしまうのです。
伸ばしボケがあると、自分に関わった相手の車のナンバーが識別しにくいので、ドラレコとしては役に立たない可能性もあるでしょう。
しかもカメラをフロント側に設置することから、リアまでの距離が長くなるため、迫る後続車が小さく録れてしまいます。
これでは煽りを受けても相手のナンバーどころか、車種さえもちゃんと確認できないかも知れません。
そんな理由から360度タイプのモデルは、ドラレコの主流になってはいないのです。
では次に実際にどんな写りになってしまうのか、私が使ってみた2機種で解説してみることにしましょう。
360度タイプドラレコ「ユピテル Q-02c」の印象
私が初めて使用した360度タイプのドラレコは、ユピテルのQ-02cです。
ユピテルの360度カメラは他社のモデルと比べてコンパクトで、フロントガラスに取り付けても目立ちません。
ただし取り付ける位置を注意して決めないと、レンズがルームミラーに被ってしまったりして、これが死角になる恐れがあります。
本体そのものは液晶もなくシンプルです。
設定及びモニターは、全て専用ビュアーを通して行うものでした。
実際に録画した映像は次の通りです。
YouTubeでは画面が固定されていますが、専用ビュアー上ではマウス操作することで、左右上下に動かすことができます。
そしてもし側面から他車が衝突しても、バッチリその瞬間を映像に収めることが可能。
しかし前項に述べた通り、レンズがフロントにしかないことで、後方が小さくしか写りません。
せいぜい、後続車の車種の動きを確認できる程度です。
前方を走る車でも、ナンバーを読み取るのは難しいですね。
本機搭載のセンサーの画素数は350万画素ありますが、画面上で切り取って見せているため、一般タイプの200万画素機にも画質が及びません。
もし万が一衝突しても相手が逃げてしまったら、特定することはできないかも・・・。
ただ、どのようにして衝突したのか原因を究明する分には、「本機は十分に役立つだろうな」と言う印象を受けました。
360度タイプドラレコ「AKEEYO AKY-V720」の印象
もう1つ、私が使った360度タイプドラレコは、AKEEYO AKY-V720です。
本機はスマートミラー型の360度タイプドラレコで、11.26インチ大型モニターの下部に、全天球レンズを前後に2つ装着した計720度モデル。
これにより、前後それぞれ上下360度左右240度の視野で録画することで、再生時には前後2つに分けて表示するユニークさが特徴です。
そのためトリミング面積を少なくできるので、先のQ-02cと比べ高画質に再生できます。
ただそれでも、後方側のレンズはリアガラスからの距離があって、やっぱり車外の様子は小さくなります。
ところが本機はこの720度レンズに加え、リアに取り付ける専用カメラを付属。
このリアカメラはフルHD200万画素センサーを搭載し、後から迫る車を大きく写して、ナンバーも特定することを可能にしたのです。
360度レンズが1つだけのQ-02cと比べれば、ずっとデメリットが少ないモデルになのを実感できましたよ。
では、実際に録画した映像をご覧いただきましょう。
画質的に、問題ないクオリティなのがお分かりになったでしょうか?
ただし本機のフロンカメラは360万画素で、リアカメラは200万画素ですから、保存データ量が多くSDカードに大きな負担を掛けます。
本機は32GBのカードを付属していますが、このカードでは2時間ほどでデータが一杯になり、上書き録画されるようになります。
なるべくカードの負担を少なくするために、別途64GB以上のものを用意した方が良いと感じました。
また本体が前後に分かれていることで、電源ケーブルの他にリアカメラ用のケーブルがあり、さらにGPSも外付けですから、このケーブルも配線しないといけません。
3本のケーブルがフロント本体から出ていることで、ダッシュボード周りがゴチャゴチャしてしまうのは、本機特有のデメリットと言えるでしょう。
しかしながら、本機は360度タイプドラレコとして実用性は高く、納得できるドラレコだとは感じました。
360度タイプドラレコのまとめとおすすめモデル3機種
自分の車に関わる他車の動きを、死角なしに録画できる360度タイプのドラレコは、メリットが大きいものの、それ以上にデメリットが大きいのが初期モデルの弱みでした。
現在でも一般的なドラレコ映像として評価すれば、360度のそれはフルHD200万画素機の画質に、まだ追い付いているとは言えないでしょう。
しかしレンズやセンサーを改良したり、カメラの台数を増やすなどして、実用性の高いモデルも登場して来ています。
その中でおすすめモデルを、3機種紹介したいと思います。
360度タイプドラレコが気になるユーザーのあなたなら、以下の3機種に注目してはいかがでしょうか?
コムテック ZDR037
コムテック ZDR037は360度フロントカメラに、200万画素リアカメラを加えた2カメラ式ドライブレコーダーです。
フロント本体は、360度タイプでありながらコンパクトなデザインで、ドライバーに圧迫感を与えません。
そしてこのフロントカメラは、解像度を800万画素まで上げ高画質化。
一般のフルHD200万画素に迫る画質を達成したモデル、と言っても良いでしょう。
また、フロントカメラ・リアカメラ共にSTARVISセンサーを採用し、夜間でも明るく録画できるのも特徴です。
360度タイプモデルを意識しない、快適な使い心地を求める人に向いているでしょう。
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カーメイト ダクション360D DC4000R
カーメイト ダクション360D DC4000Rは、ユニークな構成の360度タイプドライブレコーダーです。
本機は、360度カメラで録った再生映像の弱点を補うため、このカメラとは別にフルHD200万画素カメラを前後に搭載。
このような3カメラ式ドラレコとすることで、自車の前後に迫る車のナンバーも読める仕様としたことが特徴です。
やや大が掛かりなメカニズムとしたことで、本体サイズも大きめですが、液晶モニターを2.7インチと大型化し視認性を良くしています。
360度タイプと2カメラ式一般タイプの、いいとこ取りをしたモデルと言えるでしょう。
価格は高めですが相手の車の細かい動きと確実にナンバーが読めることの両方を重視するユーザーに相応しいドラレコです。
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セルスター CS-360FH
セルスター CS-360FHは、360度レンズの弱点をカバーすべく、前後に180度レンズを装備した、2カメラ式ドライブレコーダーです。
360度を180度レンズ2基とすることでレンズのゆがみを抑え、同時に伸ばしボケも少なくし、解像度の低さを補っています。
しかし2つのレンズは、互いに逆方向を向いているものの、位置は同じところにあるので、後ろの車は小さく写り詳細が良く分かりません。
そこで本機に専用のリアカメラを追加した、CS-361FHTもラインナップしています。
360度レンズ特有の、ゆがみを気にする人におすすめしたいドラレコです。
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