今、ドライブレコーダーのトレンドと言えば、できるだけ死角がでないように録画できるモデルを指しますね。
前方だけでなく、後方も録画できることが当たり前になり、さらにここへ来て、左右の様子も一緒に記録できるべきとなりつつあります。
理想的な録画をするには、360度録画モデルが最も相応しいことでしょう。
ただ360度モデルでも、レンズ1つで周囲を収めようとすると、いくつか弱点が露呈してしまいます。
それは記録した映像がまともに見えるよう、切り取って拡大することで起こる画質の低下、そしてリアの様子が小さく写ってしまうことなんですね。
その弱点をできるだけクリアしたモデルの1つが、「AKEEYO AKY-V360S」です。
フロントカメラの半天球レンズで水平360度をカバー、リアの映像は専用のカメラで記録する、約12インチの大型モニターを内蔵したスマートミラー型ドラレコです。
今回はこのAKY-V360S手に入れたので、取り付けから使用に至るまで実際に録画した映像を交えて、私がレビュー評価してみたいと思います。
AKEEYO AKY-V360Sを箱から開封する
AKEEYO(アキーヨ)は中国のメーカーですが、日本にも事業所があり、国内で販売される同社の製品は全て日本仕様となっています。
AKY-V360Sの外箱を見ると、英語以外は全て日本語で書かれ中国語が使われていないところが、同社の販売に対する本気度が伺えますね。
外箱の作りはしっかりしており、海外製品なのに中身は丁寧に梱包されています。
本体の大きさは幅285㎜x高さ65㎜で、ミラー全体が11.88インチの液晶モニターになっており、実際に点灯させるとその大きさに感動を覚えるほど。
でも、市販のワイドミラーほどサイズが大きくないため、ほとんどの車種で運転席・助手席のサンバイザーに接触することはないと思います。
360度レンズは本体下部に搭載され、前後に回転する可動式です。
ミラー背面にレンズが付いたモデルと違い、純正ミラーに被せる際にオフセットせず、左右均等の位置に取り付けられるのが良いですね。
本体背面の中央部分にある格子状の穴は通風孔で、これにより本体内部に熱がこもるのを防いでいます。
本体のほかに付属するものは、12V-24Vに対応する電源プラグ、それとリアカメラをつなぐケーブルで長さは5.8mとなっています。
純正ミラーとはゴムバンドを使って固定する方法を採用しており、バンドは2種類付属しています。
またレンズやモニターを拭くのに便利な、クリーニングクロスも付きます。
そして外付けになっているGPS、リアガラスに両面テープで貼り付けるリアカメラ、ケーブルを隠す際に使う内張りはがしまで付属。
取扱説明書は、日本国内仕様として専用に編集され、内容は分かりやすいです。
ただ冊子がA6サイズとコンパクトで、文字も小さめなので、老眼の人には見づらいことでしょうね。
メーカーウェブサイトにも取説が掲げられているので、こちらも合わせて見るのも良いかも知れません。
取説の隣にあるのはアクセサリーなど、他のAKEEYO製品を紹介したパンフレットのようなものです。
その他本機には、32GBのMicroSDカードが本体にセットされていました。
全体的に、必要かつ十分な内容になっていると思います。
AKEEYO AKY-V360Sを車に取り付ける
AKY-V360Sはミラー型ドライブレコーダーですから、取り付けそのものが難しいことはありません。
2種類あるゴムバンドのうち、はめやすい方を使って純正ミラーに被せます。
フィット感は良く、取り付け後にガタ付くことは皆無です。
しかしゴムバンドは、長期間使い続けることで伸びるでしょうから、1~2年で新品と取り換える必要があるのではないかと思います。
本機を取り付けた後の、正面の写真はこちら。
パッと見た限りではスマートに決まっているし、本体が左右のサンバイザーに接触することもありません。
ですが本体上部には、電源・リアカメラ・GPSのケーブル3本がはうので、ここは見た目スマートとは言えないでしょう。
MicroSDカードスロットも、この3つの端子の間にあります。
なのでやや出し入れがしにくく、スマートにはいきません。
GPSは今回、ダッシュボード左端に取り付けました。
ダッシュボード中央は、ケーブルが目障りだと思ったのです。
付属するリアカメラは防水仕様ではないので、リアガラス中央上部内側に取り付け。
両面テープで取り付けるアタッチメントを介し、容易に設置することができました。
設置後はレンズを回して、上下に位置を調整することが可能です。
さて、ドラレコ本体とリアカメラを取り付けたら、次にケーブルの配線作業に移るのですが、ここで問題が発生・・・。
何とリアカメラまでの、ケーブルの長さが足りなくなってしまいました。
リアカメラのケーブルは5.8mで、取り付けた車種はカローラフィールダーです。
本体から助手席サンバイザーの上を伝って伸ばしたケーブルを、Aピラーに沿ってダッシュボードまで下ろしたら、さらに助手席ドア下の内張りの中に潜り込ませ、ラゲッジルームまで引っ張りました。
ここから今度は天井へケーブルは向かって行くのですが、この時点で長さが足りないことに気付きました。
1mほどですがリアカメラまで届かないので、取りあえず現在、ケーブルは一部ラゲッジルームの空中をはう状態になっています。
初めから、ケーブルを助手席ドア上部に通せば足りたかも知れませんが、内張りの構造上、素人の技術では困難を極めます。
仕方なく本機の取説通り、ドアの下部に配線したのですが、結果的に長さが足りないことになってしまいました。
リアカメラケーブルの長さが不足することを考え、本機にはオプションで長さ10mの延長ケーブルが用意されています。
後日私は、このケーブルを購入して交換しようと思っています。
もし本機を1ボックスカーに取り付けようと考えている人は、この延長ケーブルの同時購入が必須ですね。
しかしできることなら、せめてセダン系車種には延長ケーブルを使わずに済むよう、7m長のケーブルが付属されるよう仕様を変えてもらいたいものです。
ちなみにリアカメラのケーブルは特別太いものではなく、内張りに押し込むことは困難ではありませんでした。
なお、電源ケーブルやGPSケーブルの長さは十分であり、不足するような車種は皆無だろうと思います。
AKEEYO AKY-V360Sの設定画面に付いて
AKY-V360Sの設定画面はこのようになっています。
各項目が箇条書きになっていて、指でタッチすることで設定することができます。
整然と並んでいることで、一度慣れてしまえば使いづらいことはありません。
Wi-Fiには対応しておらず、録画データを見るには本機のモニターで確認するか、カードを取り出してPCで再生することになります。
解像度は、フロントカメラが1920px1920pの360万画素で、水平視野角が360度・垂直視野角が220度になっています。
リアカメラは1920px1080pの200万画素で、視野角が140度です。
どちらのカメラもSONYのSTARVISを採用し、また解像度を固定していて変更することはできません。
画面は、フロントカメラとリアカメラの2画面表示が基本。
画面をタップすることで、リアカメラ1画面にしたり、中央にリアカメラ・左右にそれぞれのフロント側面を配置する3画面表示にもできます。
360度で記録中の左右のフロントカメラ映像は、指でなぞることで見える場所を移動させることが可能。
そしてフロントカメラ前後左右4画面と、リアカメラ1画面を配置した5画面表示にも切り替えできます。
ただ走行中にマルチ画面にすると、状況を瞬間的に把握するのが大変なので、普通のルームミラーのようにリアカメラ1画面表示にした方が分かりやすいですね。
またリアカメラで記録した映像は、全部をモニターで表示することはできないので、モニター左側部分を上下になぞって映像を動かして確認します。
また液晶を消して普通のミラーとしても使えますが、見やすさからすれば常に液晶表示した方が良いと思います。
液晶画面は全体的に明るく表示され、画質は良好。
モニター画面の右側を指でタッチして左右にスライドさせると、モニター全体の明るさを変化させることも可能です。
このモニターは、自動的に昼間は明るく露出し、夜間は控えめの露出に変わります。
夜間の眩しさを防ぐ機能で便利ですが、明るいから暗いへ唐突に変わるので、最初はモニターの不具合かと思いました。
では実際に録画して、どのように写りを再現してくれるのか、次の項で映像をご覧いただきましょう。
AKEEYO AKY-V360Sの録画映像
では今度は、実際にAKY-V360Sを使って録画した映像を5つお見せしましょう。
本機のフォーマット形式は、360度ドラレコで良く使われる “ts” ファイルです。
録画したデータを、そのまま「Windows Media Player」や、Windows10にある「映画&テレビ」で再生することはできません。
付属するmidroSDカードに入っている再生ソフト「VeSeeGo」を使います。
VeSeeGoはWindowsには対応していますが、残念ながらiOSには対応していません。
ところが、最初私がWindowsPCで録画データを見ようとした時、フロントカメラのデータは問題ありませんでしたが、なぜかリアカメラのデータが再生できませんでした。
再生しようとすると、VeSeeGoが勝手に閉じてしまうのです。
メールサポートも使いながら試行錯誤した結果、カードを本機とPCの両方でフォーマットしたら、無事に再生ができるようになりました。
AKY-V360Sは360度式ドライブレコーダーです。
再生ソフト上では、全面・球面・二面・四面で映像を再生することができます。
マウスで映像を引っ張ると、レンズを下へ向けた状態では、左右に360度・上下に220度向きを変えることが可能です。
これを、一般に使われる映像ファイル “mp4” に変換してしまうと、再生中に向きを変えることはできなくなります。
“ts” ファイルはVeSeeGo内で “mp4” に変換させられますが、今回私は再生ソフトの操作画面をお見せするため、動画キャプチャーを利用して変換したものをご覧いただこうと思います。
なお本機は録画と同時に録音もされますが、今回は、どれも音声なしで作成しました。
フロントカメラ昼間全面映像
AKY-V360Sの本体は、デフォルトの状態ではレンズが下に向いています。
この状態だと、前方及び、車内の左右と後方の様子を録画できますが、上方の様子が切れて見ることができません。
これでは、前方直前の信号機が見えないことがあるので、私はレンズを前方側に傾けて、一般のドラレコのような映像が録れるようにセットしました。
その結果、画面上側に純正ミラーの切り替えレバーと、別のドラレコのステーが写っていることをご理解下さいね。
フロントカメラ夜間全面映像
次は、夜間のフロントカメラ全面映像です。
昼間とは違う明るさでの写り具合にご注目下さい。
フロントカメラ昼間四面映像
続いて、フロントカメラのデータを4つに分割した昼間映像です。
レンズをデフォルトの下方向に向ければ、前方・左・右・後方に正しく分かれますが、私はレンズの中心を前方に向けたため、前方以外向きがおかしく写っています。
これもご了承下さいね。
リアカメラ昼間映像
今度は、リアカメラの昼間映像です。
スモークガラスを通した上での映像の明るさに注目して、ご覧下さい。
リアカメラ夜間映像
夜間のリアカメラの映像の明るさは足りているのか?
そこのところに注意しながら見ていただきましょう。
撮影地は郊外の駅周辺の住宅地で、野外照明やネオンはあまりない地域です。
AKEEYO AKY-V360Sの録画映像のまとめ
今回のフロントカメラの映像は、レンズの中心を前方に向けたことで、4分割で見ると向きが変わり車内の様子をパッと把握できなくなっています。
その代わりに上方側(空方向)の様子が写るようになり、直前の信号機が何色だったのか、証拠として残せるメリットがあります。
どの方向に向けるのが一番良いのか、色々レンズの角度を変えながら、今後模索していこうと考えています。
画質ですが、1つのレンズで録画する360度ドラレコの中では、私が検証した限り今までのモデルの中で最も良い方に属すると思います。
今回ご覧いただいた映像は、元の再生委映像をキャプチャーしたいわゆるコピーのようなものなので、若干画質が劣って見えますが、VeSeeGo上ではもっと高画質です。
一般の200万画素機ほどではないものの、それでも100万から150万画素機並みの画質を持っていると言えるでしょう。
直前の先行車のナンバープレートが、何とか読めるくらいですね。
夜間だと周囲の車を始め、野外看板の文字なども読みにくくなりますが、STARVISセンサーのおかげで、明るさそのものは実際に目で見たくらいかそれ以上になっています。
それから映像がカク付く場面もありますが、これはWindows10に標準装備されている動画キャプチャーソフト「Xbox Game Bar」の影響によるもので、本機に起因するものではありません。
本機のフレームレートは、フロントカメラが27.5fpsでリアカメラが25fps。
コマ数の少なさによるカク付きも少しあるものの、慣れれば気にならない程度と感じます。
リアカメラもフロントカメラ同様STARVISを採用しており、HDR録画機能も搭載しているので、夜間の照明が少ない場所でも明るく黒つぶれも少ないです。
ただし光がほとんどないところでは、明るいとは言え、さすがにノイジーな映像になってしまっています。
全体的にドライブレコーダーとして、実用性はほぼ十分な画質と言えるでしょう。
AKEEYO AKY-V360Sの評価
ではここで私が、AKY-V360Sを取り付けて使ってみた上の評価をしてみましょう。
フロントカメラ本体を手にした感じでは重みがあり、仕上げも良く高級感すら感じるドライブレコーダーだと思います。
何と言っても一番の魅力は、リアカメラも搭載して、前後左右360度くまなく録画範囲を広く取ったことです。
ただ欲を言うなら、フロントカメラをデフォルトの位置のままでも、もっと上の方を写すことができれば、更に死角を少なくできて良かったですね。
しかし半天球レンズ1つで、全方向くまなく写すのには限界がありますから、これはこれで良しとすべきかも知れません。
画質に付いては、1つのレンズで良く頑張っていると思います。
少し前の360度モデルと比較すれば、かなりの高画質です。
もしこれ以上の高画質を求めるのなら、セルスター CS-360FHのように、2つのレンズで360度をカバーする構造にするしかないでしょう。
ちなみに、CS-360FHは少し設定が分かりづらく、また液晶モニターが1.44インチと小さいことで、走行中に映像を確認することはほぼ不可能です。
対してAKY-V360Sは約12インチのモニターを内蔵していることで、大きさの比が圧倒的に異なりますね。
2レンズ式の360度モデルの方が画質こそ優れるものの、2つのレンズでスペースを取ってしまい使い勝手が劣ることで、必ずしもこちらの方が優位とは言い切れません。
でも、本機はミラー型ボディを採用していることで、GPSを内蔵することができず、ダッシュボードに取り付けないといけないのは残念です。
あと、操作をタッチパネルで行い設定が容易なのは良いですが、データの再生が本体以外では専用ソフトに限られるのも惜しいと思います。
映像を多くの人に見てもらえるよう共有するには、ファイルを変換する作業をしないといけません。
この作業がドラレコ初心者に取っては、難易度が高いと感じられることでしょう。
本機を使いこなそうとすれば、中級者以上の知識が求められますね。
と言ってみたものの、約12インチの巨大なモニターはやっぱり魅力的で、使っていていかにもスマートミラーと思えるのは快感です。
なお補足ですが、本機稼働中にナビのテレビを使用しても、番組映像が乱れることはありませんでした。
また本機は、モニターを消して普通のルームミラーとしても使えますが、モニターを使用するとミラーの反射が邪魔をして映像が見づらいことがあります。
それが気になるユーザーは、オプションの映り込み防止フィルムを貼ると良いでしょう。
私も気になるので、後日このフィルムを購入しようと思っています。
AKY-V360Sは少々録画後の再生に手間が掛かっても、煽り運転車などの特定が優先と考えるユーザーや、360度ドラレコに興味津々のユーザーなら満足度の高いスマートミラー型ドライブレコーダーと評価できるでしょう。
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